Yokosuka Jazz Dreams Live Series 2025 soraya
-Official Live Report-
sorayaとしてホールでのバンド形態での演奏は初、しかもピアノとウッドベース&ボーカルに サックス&フルート、そしてパーカッションという研ぎ澄まされた編成で挑んだ今回、ピアノのフレーズと石川のブレスで始まる「耳を澄ませて」で幕が開けた。間奏部分から次第に大きくなる各楽器の躍動が全体で大きな渦を巻き起こし、sorayaの世界へと一気に誘う。そこから間髪入れず、新曲「Gravity」を披露。新作EP Motionのリード楽曲、内なるエネルギーが大きな川となって溢れるような推進力のある楽曲を2曲目に初披露、客席からの暖かい拍手に包まれた。ここで最初のM Cが入る。
石川「ありがとうございます。皆さんこんにちは。sorayaです。今日は横須賀ベイサイドポケットにお越しくださり、本当にありがとうございます。今日はsorayaの二人と素晴らしい二人のミュージシャンをお迎えしてお届けしたいと思います。サックス&フルート 加納奈実。そしてパーカッション Kan。今日は新しい曲も含めていろいろお届けしたいと思います。どうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。」
続く3曲目ではsorayaの楽曲の中でも人気の高いハートウォーミングなバラード「ルーシー」を演奏、 石川のソロから始まる「ちいさくさよならを」と続き、会場は心地よい空気に包まれる。
壷阪「このヨコスカ ジャズ ドリームス ライブシリーズは本当に長い歴史があって、ジャズの今までの日本の先駆者の人たちがずっと出てきていたシリーズなので、僕らもポップスではあるんですが、こうして参加して演奏することができてとても嬉しく思っています。今日はオリジナル曲に加えて、僕らがセッションやライブで普段から演奏しているジャズ・スタンダードを、自分たちなりのアレンジでお届けできるよう準備してきました。」
と前置いた上で次曲「Good Morning Heartache」の背景について丁寧に語る。
壷阪「これは伝説的なシンガーのビリー・ホリデイに向けて当て書きで書かれたもので、グッドモーニング=おはよう HEARTACHEというのが心の痛みですよね。何かずっとここにいる心の痛みみたいなものが、引き剥がそうと引き剥がそうとしても、朝になるとやっぱりそこにいて。離れよう、あっち行ってと言ってる時間を過ごしているうちに、実は自分のことを一番わかっているのはあなたなのかもしれない。この痛みこそが自分のことをよく知っている理解者なんじゃないかという…最後はSIT DOWNと言ってここにどうぞお座りくださいって迎え入れるんですよね。本当にこの歌詞を聴いた時に僕もすごく衝撃を受けまして。短い32小節の曲なんですけど、そういったストーリーが込められているんですよね。僕は当時ボストンのバークリーにいて…そこにいるKanくんはルームメイトで。その時の23ぐらいの僕が、ちょっとませて書いたみたいなアレンジメントなんですけど。それを日本でこうしてバンドでまた演奏できるとは思ってなかったので。今日が初めて演奏させていただきます。『Good Morning Heartache』、そして僕らの曲で『言葉の庭』という曲を演奏します。
ダークな印象のピアノのイントロから少し気だるいような歌、間奏部分では混沌としたバンドメンバーとのインプロビゼーションが音楽の奥行きをさらに押し広げ、そんな混沌から一輪の花が生まれるような澄んだ歌を展開し、ジャズスタンダードの見事なアップデートを見せた。そこからピアノとボーカルのみで展開するオリジナル曲「言葉の庭」へ、この一連の流れは今回企画の大きな見せ場となった。
石川「『Good Morning Heartache』に引き続き、『言葉の庭』という曲をお届けしました。
今日はですね。横須賀芸術劇場さんと協力していただいて、なんと初めてsorayaのライブにコーヒー屋さんが出店して。すずめコーヒーというコーヒー屋さんなんですけど。sorayaブレンドを作ったのって1年ぐらい前でしたっけ?1年以上前です。ずっと作ってもらってるんですけど、sorayaブレンドというコーヒーのブレンドを作っていただいているコーヒー屋さんなんです。お店にレコードプレイヤーの大きなすごくいいものとスピーカーも置いてあって、そこで私たちのCDを流しながらコーヒーをテイスティングして作ったsorayaブレンドというスペシャルなブレンドがありまして…それを今日はこの後の時間と休憩時間、そして終了後にお楽しみいただけます。すずめコーヒーさんは練馬にあるお店で、私がよく行っているお店です。「sorayaブレンドやりましょう」と言ってくださって、いつも本当によくしていただいているんです。ぜひ皆さんにもsorayaブレンドを味わっていただけたらと思います。横須賀で飲めるのは貴重だと思います。また、物販もあります。マグカップ、巾着、Tシャツの新しい柄も出ていますので、ぜひご覧ください。」
壷阪 「それではファーストの最後、もう1曲演奏させていただきます。僕らの曲で『風の中で』という曲を演奏します。」
リリースから1年半を経てsorayaを代表する楽曲へと進化した「風の中で」はライブ用に研ぎ澄まされたアレンジで疾走感とダイナミクスを生み、客席を一気に巻き込んでファーストセットを締め括った。
休憩を挟みsorayaのライブではお馴染みとなった カーペンターズのカヴァー「Sing」で幕を開ける。世界中の誰もが知るスタンダードナンバーを大胆に11拍子のジャズアレンジで展開。スリリングかつポップな世界に魅了される。楽曲が終わると石川が再びバンドメンバーを紹介し、横須賀での思い出を振り返る。
石川 「横須賀の今日の公演に向けて、私たちいろんな横須賀の街を散歩させてもらったんですけど、今回ネイビーバーガーも食べました。美味しかったですね。海軍カレーとセットで贅沢な食事をいただき、ニューヨークチーズケーキも食べました。前日にはドブ板通りなどを散歩して気持ちを高めてきました。楽しんでいただけたでしょうか。」
と言って次の曲「B A K U」を演奏。バンドメンバーとのアンサンブルが軽快かつアグレッシブなB A K Uを披露した。
壷阪「ありがとうございます。夢を食べるバクの曲を演奏をしました 笑。セカンドセットもジャズスタンダードの新しいアレンジをお届けします。「ムーンリバーという曲を聴いていただきたいと思います。これはヘンリー・マンシーニが書いた名曲なんですが、映画『ティファニーで朝食を』で、オードリー・ヘプバーンがアパートの窓際に腰掛けながらギターを弾いて歌っているシーンで有名な曲です。オードリー・ヘプバーンは歌手ではないので音域も広くなく、そのためマンシーニは1オクターブの中に収まるようにして、しかもドレミファソラシドだけでこの曲を書いているんです。シンプルで誰にでも歌える曲になっているんですね。」
と楽曲の魅力や秘密を明かし、少し都会的でN Yのような空気も感じるようでいてロマンチックで温かなsorayaのMoon Riverに酔いしれ、心地よい時間が流れていく。
壷阪「では、ここからはデュオで演奏します。曲は『Little Song』。ジャズシンガーのシーラ・ジョーダンの曲です。シーラは先月96歳で亡くなりました。直前まで現役で素晴らしいシンガーでした。最初に日本で聴いた時、涙が止まりませんでした。その後ボストン留学時代には毎年会う機会があり、マスタークラスを見たり、ニューヨークの自宅に招かれてレッスンを受けたこともあります。シンガーと一緒に演奏する時の立ち位置や楽譜もたくさん教わり、とても大切な時間を過ごしました。そんなシーラのレパートリーから『Look For The Silver Lining』を演奏します。「光る雲の縁」つまり辛い時でも良いことがある、という前向きな曲です。今日はこの機会に『Little Song』と『Look For The Silver Lining』をデュオで演奏します。」
長いベースのソロから民謡のようなハミングが、芯のある歌へ変わる。声が音楽になっていく瞬間を垣間見る、sorayaではあまり見ることができない石川の迫真のパフォーマンスに、時が止まるように会場が一体になったところへ壷阪のピアノのが清らかに流れ込む、思わず涙を誘うようなパフォーマンスに会場が熱くなった。
壷阪「ありがとうございます。早いもので次の曲で最後になります。ではサポートのお二人にも戻っていただいて。もう一度紹介させてください。パーカッション、Kan。サックス/フルート、加納奈実。パーカッションってドラムと違ってわかりにくいですが、この二人とでなければ表現できない世界があります。本当に素晴らしいメンバーと今日ここで演奏できて嬉しいです。本当に有難うございます。」
石川「今日はsorayaの新しいEPを持ってきました。会場で初めてのサイン会販売です。ぜひお手に取ってください。壁を塗る左官屋さんにお願いして作った青い左官のすごい素敵なジャケットで、内容も本当に素晴らしい作品です。」
壷阪 「また、11月16日には赤坂・草月ホールで初のワンマンホールライブを行います。この4人にドラムとギターを加えた豪華編成です。 今回、この横須賀と草月というのが僕らのこの今年の締めくくりというか、このアルバムを出してでのライブなんですが、特にこの横須賀での公演は、横須賀芸術劇場の皆さんと、一緒に作らせていただいた公演です。なので僕らの曲もやるんだけども、じゃあジャズシリーズでどういうことができるだろうとか、コーヒーも出張販売してくれるのかなとか。じゃあそこにLPやEPも販売できるといいね、というふうに。今日迎えられたのも本当にたくさんのスタッフや芸術劇場の皆さんのおかげです。改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございます。最後に、新しいEPから一曲、「Hands」という曲を演奏いたします。」
先行シングルとしてリリースされた孤独と生きる喜びが共存するゴスペルソング「Hands」で会場はさらに一体感を増し、大団円で本編は終了。そして鳴り止まない拍手でアンコールが始まる。
石川「本当にありがとうございました。皆さんありがとうございます。もう一曲お届けしたいと思います。」
と残し、アンコールはライブ前日に出演したJ-WAVEに出演した際にスタジオライブで初めて披露したゴダイゴの「Monkey Magic」のカヴァーをデュオで演奏。これから先のsoraya未来を示唆するような躍動感たっぷりの演奏を聞かせた。次回11月16日開催の草月ホールでのワンマンライブ soraya 「VOICE INSIDE」への期待は膨らむばかりだ。
SETLIST
1st
耳を澄ませて
Gravity
ルーシー
ちいさくさよならを
Good Morning Heartache (cover)
言葉の庭 (duo)
風の中で
2nd
Sing (cover)
BAKU
Moon River (cover)
レコード
Little Song〜Look For The Silver Lining (duo)
Hands
enc.
Monkey Magic (cover)






2025.11.16(日)
soraya「VOICE INSIDE」
草月ホール
open 16:15 start 17:00
指定席 ¥5,500 親子席 ¥5,500
sorayaが 歴史ある草月ホールにて新作EP「Motion」を引っ提げ、初のホールワンマン公演を開催。気鋭のミュージシャンをゲストに迎えた豪華バンドセットにてお送りします。
-Band Menbers-
Dr.菅野知明
Gt.閑喜 弦介
Sax&Flu.加納奈実
Per.Kan