soraya meets モノンクル
TALK SESSION
壷阪健登 x 角田隆太
2026年2月5日にVeats Shibuyaにて開催の「soraya meets モノンクル」。
開催に向け、コンポーザーの壷阪健登(soraya)と角田隆太(モノンクル)の貴重なトークセッションをお届けする。
Photographer Ray Otabe
Edit by ondo
今回の経緯と互いの音楽の印象
壷阪 今回、対バンとして出演予定だった崎山蒼志さんは療養のため、やむを得ず出演をキャンセルされることになりました。崎山さんの一日も早い回復と、またステージで彼の音楽を聴ける日を僕ら一同何よりも楽しみにして います。 そんな状況の中で、今が何ができるだろうかとスタッフと話し合う中で、真っ先に思い浮かんだのがモノンクルでした。引き受けていただき本当にありがとうございます。
角田 こちらこそありがとうございます。
壷阪 僕が最初にモノンクルを見たのは2015年、「JAZZ SUMMIT TOKYO」のイベント で。 六本木のSuperDeluxeでやってたやつですね。 そのあと僕はバークリーに留学して、 コロナ禍で日本に戻ってきて、sorayaを始めることになるんですけど。先日、渋谷で行われたCUEWというイベントで初めてモノンクルとご一緒して、ライブを改めて観ることができました。その時はデュオ編成でしたよね。
角田 そうそう。
壷阪 最初に観た頃と、 音楽も雰囲気も全然違っていて。 それにすごく驚いたし、 ステージにも感銘を受けました。
角田 あの時は出演が結構直前に決まって、フットワーク軽い二人編成で行ったんですけど、当日も楽屋同じだったけど挨拶くらいしか出来なかったから、こうやって声かけてもらえたのは本当にありがたくて。
壷阪 僕も、引き受けていただけるとは思ってなかったので、 本当に嬉しかったです。
角田 あの日、sorayaのライブにめちゃくちゃ感動してて。 帰り道に「Gravity」がずっと頭に残ってて、 あとで聴き直して、「あ、この曲だわ」って思いました。
本当に好きな曲です。
壷阪 いやー、ありがとうございます。
モノンクルの新作「僕ら行き止まりで笑いあいたい」も改めてじっくり聴 かせていただき、ライブで観た時の印象と、音源として完成された作品と しての印象、その違いも含めてとても心に残りました。学生の頃からモノンクルを知っている身としては、その変化と深化を感じずにはいられませ んでした。
角田 いや、それはめちゃくちゃ嬉しいです。
壷阪 sorayaの音楽って、初期のモノンクルと共通点があるって言われることもあって。 音楽的にも聞いてみたいことがたくさんあったので、 今日こうやってお話しする場を設けさせていただきました。
角田 嬉しいです。 なんかね、当時のモノンクルって、 sorayaみたいな音やりたかったな、って思うところもあって。 特に最近のプロダクションを聴いてると、 「あ、これ当時やりたかったやつだな」って思うことが結構あります。
角田 葛西さんがエンジニアですよね。 あのワイドな感じ、すごくいいなと思ってて。モノンクルの作品にも関わってもらってたし、象眠舎の現場とかでもよく会ってたんで、今回PAやってもらえるのも楽しみですね。そういえば、今回サポートで入ってくれる兼松衆とも交流あります?
壷阪 あります。 松井秀太郎くんのバンドで、僕が入る前に兼松さんがピアノをやっていたこともあり、仲良くなりました。
角田 なるほどね。兼松は、モノンクルを結構手伝ってくれてたんですよ。特に初期の頃は、かなり一緒にやってました。今回久しぶりに一緒にやれるのが楽しみで。
それぞれのルーツ
壷阪 角田さんの音楽のルーツの話も聞いてみたいなと思っていて。噂で聞いた んですけど、ビックバンドをやってたって…?
角田 そうそう。明治のBSっていうところでやってて。ジャズとウッドベースの始まりは、まあそこかな。
その前から音楽自体はやってたんだけど、高校のときは地元の仲間とバンド組んで、渋谷でライブしてた感じ。
壷阪 それはロックバンド?
角田 うん。その当時はthe band apartみたいなことやりたくて。 大学入ってから、ビッグバンドやってる友達と仲良くなって、
「ベースやってるなら一緒にやろうよ」って誘われて。やってみたら割としっくりきちゃって、そこからずっと。
壷阪 ジャズベーシストとしてのキャリアが、割と最初なんですね。
角田 そうだね。在学中から仕事なのか仕事じゃないのかわからないようなものが入ってき始めて、そこから引きずられて、笑
それで沙良と出会って、 モノンクルを始めた頃は、所謂ジャズバンドっぽい動きをしていて毎回メンバーも編成も違うし、曲も楽器のソロの時間の方が長いくらいの構成だった。
壷阪 「南へ」の頃も、まだそういう編成だったんですよね。
角田 あの頃は、「二人組ユニットです」っていう意識もそんなになくて、日程合う人が来る、みたいな。9人とか。 ホーンセクションも全部譜面書いてた。今思うと、よくやってたなって思うけど。
壷阪 でもその緻密さや物量があるからこそ、やはり大きな迫力になりますよ ね。自分も書く立場になってみて、これを書き切る執念というか、エネルギーを感じます。
角田 書いたけど、思った通り鳴らないことも多くて、 朝4時くらいまで修正して、次のリハに持ってって、また直して、みたいな。 音楽の素養を鍛えられる、自分の中のサウンドを作る日々だったなって思いますね。
ちなみにどういう流れだったんですか?sorayaは。そのバークリーに行く前は?
壷阪 sorayaは、 石川紅奈と一回だけジャムセッションで一緒になったことがあって。その時は彼女をベーシストとしてしか知らなかったんですけど。その後、 僕がバークリーを卒業した後、ボストンでコロナ禍が始まり仕事が全部な くなって。料理してゲームして、それくらいしかやることがなかった時期 に、たまたま紅奈が歌ってる動画が流れてきて、それを聴いてすごく癒さ れたんです。それで日本に戻ってきた時に「何かやろうか」って話になっ て。だから、sorayaは完全にコロナ禍スタートですね。
角田 それ、モノンクルとも結構近いところがあって。モノンクル始めてすぐ震災があったんだよね。生活も仕事も止まる、みたいな感覚の中で、 どうなっていくんだろうなって思いながら、音楽として表現していくしかなかった。初期の作品は、 個人的なこともそうだし、 世界的なこと、震災のことだったり、祈り的な部分だったり、 「どうやって朝を迎えればいいんだろう」みたいな感覚が、 かなり大きなテーマとしてあったと思います。
壷阪 ライブが全部なくなって、 部屋の中で音楽を作るしかなくなって。キャリアが長い人だったら 「こういう時期もある」って思えたのかもしれないけど、僕は出たばかりだったので、 「あ、終わったな」って正直思いました。今こうして人前で演奏してるのが、 いまだに不思議なときがあります。
角田 あーそっか。そこスタートだとね。 やっぱそういう時代の、まあ、あの、なんだろうね。 楽曲って全部そうだと思うけど、時代の影響をモロに受けて書かれると思うんですけど、特に出来事的に大きかったんですよ。 震災もコロナもそうだし。
壷阪 やっぱずっとそこは最初の方のモチーフの一つとしてあったんですね。
角田 うん。 そう。 ちなみに壷阪君自体はバークリーに行く前はどういう感じだったんですか?
壷阪 高田馬場のイントロってお店でセッションしたり、大学の1、2年の頃は 早稲田のビッグバンドにいたり、完全にジャズバカでした。バークリーもジャズを勉強するために行ったので、まさか自分がこういう活動するとは 思ってなかったんですけど。ただコロナ禍になった時に、ジャズってやっ ぱり聴き疲れするじゃないですか。
角田 ああ、わかる気がする。でも一般的にはさ、ジャズ聞くととすごい癒されるわみたいな。すごくリラックスできるわと思って聴くと思うんだよね。
壷阪 確かにイメージでいうとそうですよね。
角田 でも一回なんかそのランゲージとして習得してしまうと、めちゃくちゃ聴き疲れるよね、笑 ジャズ。
壷阪 ああ、そういうことなんですね。
角田 って思ったりします。言ってる意味わかっちゃうから、全部話として。
壷阪 多分そうなんだと思います。そういう時期に、矢野顕子さんや大貫妙子さ ん、細野晴臣さんの音楽にすごく救われた感じがあって。それが今の sorayaにつながっていると思います。
作品について
壷阪 この流れでぜひ新譜の話も伺いたいんですけど、本当に素晴らしいアルバムで。すごく開けたアルバムだなって。それでいて、すごくパーソナルな音楽でもあるという印象がすごく残ってい ます。『行き止まりで』って、 かなり強い言葉ですよね。
角田 そうだね。ネガティブにも聞こえるけど、行き止まりって、別の場所に行くための入口でもあるなって思ってて。SFとかでもさ、 行き止まりだと思った場所が、 別の世界への入口だった、みたいなのあるじゃない。 ああいう感覚。2025年って、 SNSとか見てると、 世界が完全に分断されてる感じもあって。それぞれの世界が、 並行して存在してる、 みたいな感覚が強かった。
壷阪 制作期間としてはコロナ禍とかも含まれていますかね?
角田 今回7年ぶりのリリースなんだけど、ほとんどの曲は 2025年に作っていて。GINGUAとかHOTPOTとか何曲かは元々あった曲だったんだけど、他は割と2025年に仕上げたみたいな感じなんですよ。
壷阪 プロダクションも含めて全部じゃあバーって
角田 そう、バーっと作ったって感じ。今回は。その昔からあった曲も 2025年バージョンとして出したっていうか、一から作り直してリアレンジして、今の気持ちとしてやりたいなっていうので出しました。
壷阪 さっきのその SF って言葉もありましたけど、「GINGUA」や「Interstellar」と いうタイトルも…
角田 そう、なんですよ。沙良がね、そもそも宇宙とか宇宙人とか、そういうのめっちゃ好きなんだよね。
都市伝説とかも含めて。なんで、やっぱそこはモノンクルの中にコンセプトとしてずっとある感じ。
キャリアの中での音楽の変化
壷阪 この機会で一番伺いたかったことなんですけど、モノンクルの作品を1作 目から順に聴いていくと、歌詞、サウンドプロダクション、歌、そのどれ をとっても変化やストーリーを感じます。最初のアルバムと今回の新作を 並べて聴くと同じバンドなのかな?ってくらい変わっている。そこには1 5年近くの月日があるわけですよね。 今回のアルバムの最後にたどり着いた時、その時間や歩みを感じずにはい られませんでした。どうしてそんなに変化するのでしょう?そのどれもが流行やファッションではなく、その時感じていたものが作品として形に なっていると思うのですが。
角田 多分一番最初から何かを表現する、こういうことをしたい、が先にあって、そこに音楽がくっついてる感じがするんだよね。
音楽はちょっと後付けというか。 その時にその場に一緒にいる人だったりとか、例えばその一番最初はやっぱビッグバンドやってたから、ビッグバンドのサウンドとかがすごく頭の中にこびりついてて、やっぱ9人編成という形を取らざるを得なかったってこともあるし。 そこからキャリアが進んで、いろんな仕事をして、一緒にいる人とか環境が変わっていくことで、そこの影響をもろに受けるというか。 で、沙良の思ってることもどんどん変わってきて。 特に沙良は進化が早いのに加えて飽き性もあるので。 で、それで変わっていく側面もあるし、あとはチームや、スタッフ、その時々で周りにいる人が思ってることにも影響がある。 で、一番大きなクリエイトは時代から感じるもの、時代が聴きたいと思っている音っていうのは、自分も一緒に聴きたいと思っちゃったりとか。それが音的なアウトプットが変わって、今こういうところにたどり着いてるなとは、自己認識としてありますね。
壷阪 じゃあ自然な変化でもある。
角田 そうだね。なんかこういうことをしなきゃとか思ってやってはいなくて、割と流れ着いちゃってるみたいな感じなのかもしれない。でもsorayaも割と 1作目から2作目でも変化があった感じでは?
壷阪 前は部屋の中に閉じこもって音楽やってれば幸せだったんですけど、やっぱり、それでは生きていけないし。自分たちもキャリアを始めた身として、ミュージシャンとして、一歩踏み出して行かなきゃいけない、必要だったら自分の中でこれだと思ってきたものも変えていかなきゃいけないなって感じることが増えて。それで今回の2作目は、制作期間はすごく短く、ガッと作って。そのスピード感で、今、自分が変わっていっている瞬間をそのまま出そうと思ったんです。
ライブハウス公演への意気込み
壷阪 この「soraya meets」は今回で2回目になります。普段着席のコンサート が多いsorayaですが、僕らが信頼するステージスタッフもいる環境の中 で、大好きなアーティストをお迎えして、あえてスタンディングをメインに違った一面も見せていこうと、Veats Shibuyaの協力のもと始まりました。
角田 このバンドでやれるのが楽しみだね。演者同士の交流もすごいありそう。
壷阪 sorayaは、
Key 壷阪健登
Vo & B 石川紅奈
Sax & Flute 加納奈実
Gt 高木大丈夫
Dr 高橋直希
という編成でやります。
角田 モノンクルは、
Vo 吉田沙良
B 角田隆太
Dr 田中航
Gt 竹之内一彌
Key 兼松衆
です。
壷阪 ライブハウスとホールって、 やっぱり全然違いますよね。
角田 全然違う。 距離感も違うし、音の作り方も変わる。でも今回は、 ライブハウスだけど、 ちゃんと音楽を聴く空間にしたいなって思ってて。
壷阪 本当に楽しみです。
そうだ、相談なんですが僕ら 「南へ」をやろうかな、って思ってます...
続きは soraya meets モノンクルで!
soraya meets モノンクル
supported by Veats Shibuya
2026年2月5日(木)
📍Veats Shibuya
OPEN 18:30 /START 19:15
出演:soraya、モノンクル
【チケット発売中】
イープラス https://eplus.jp/soraya_mononkul/